【プロ野球】NPBとMLBのドラフトと育成方針の違い

日本プロ野球(NPB)と米国メジャーリーグ(MLB)のドラフト会議には大きな違いがあることはご存知でしょうか?
2012年、現在はエンゼルスで活躍する大谷翔平選手が当時高校3年の時に、NPBではなくMLB球団と契約するのでは?と話題になりました。
また、2008年に、当時社会人チームに所属していた21歳の田澤純一選手がNPB球団からのドラフト指名を拒否し、MLB球団とマイナー契約したことが大きな問題となり田澤選手に批判的な意見が国内で噴出しました。
この時日本球界で“田澤ルール”が作られました。
その中身は、NPB球団を経ずにMLB球団と契約した日本の選手は今後NPB球団への移籍を一定期間認めないというものです。
日本人選手のMLBに挑戦したいという意志を著しく削いでしまうこのルールは長年撤廃を求められてきました。そして2020年9月についに撤廃が決まりました。
NPBとMLBの、当時の田澤純一の評価の違い
田澤選手本人のコメントで知ることになったのが社会人からいきなりメジャー球団とマイナー契約した本当の理由です。
当時21歳の田澤選手は日本球団のスカウトからは「即戦力」と評価されていました。
目前に迫るNPBドラフト会議では複数球団から1位指名が確実視されていました。
しかし、田澤選手本人はこの時点での評価に疑問を感じていたのです。
「いきなり活躍できるか不安、まだ成長途上だから行くなら育成に焦点をおいてくれる球団にいきたい」そう願っても、NPBの球団では即戦力扱いされることが確実でした。
そんな悩みの中にいた田澤選手に救いの手を差し伸べたのがMLB球団レッドソックスでした。
レッドソックスに限らずMLBは新人選手はもれなくマイナー契約し育成・強化が前提となっています。
即戦力であることを求めるNPBと素材型として評価するMLB。
何が最善かを考えて田澤選手はMLBを選んだ、それだけのことでした。
日本球界をもっと挑戦しやすい環境に
NPBのチームは1~3軍で編成される一方、MLBは1~8軍(メジャー~ルーキーリーグ)まであり2軍より下の育成組織の規模が桁違いです。
NPBでも育成契約が制度化されたり、それまでリハビリするためにあった3軍を明確な育成組織とする球団が増えています。
もちろん全ての選手が成功するという保証は無いですが、田澤選手がそうであったように「挑戦したい!」と思うアマチュア選手が挑戦できる環境が日本にも増えることで、日本野球が大いに活気づいていくのではないでしょうか。