メジャーリーガーの打撃がパワフルな理由

NPBで活躍する選手がMLBに挑戦することが話題になると、日本の野球ファンからは「メジャーリーガーは生まれつきパワーがスゴイから日本人には難しい」という意見が出てきますが、本当に生まれつきの問題なのでしょうか?
全く関係ないとは言いませんが、生まれつき以外にもメジャーリーガーのパワーには理由があり、日本人でも参考にできる要素が多いです。
今回はその理由を説明していきたいと思います。
身体が小さなMLB強打者
MLBに所属する選手は米国以外だと、ドミニカ共和国やベネズエラなど中南米出身者が多いです。
中でもベネズエラ出身のホセ・アルトゥーベ選手(アストロズ)は2019年シーズン本塁打を31本放つなど、MLBを代表する強打者の1人です。
彼の身長は167cmと日本人の平均身長よりも低く、MLBの世界では際立って小柄な選手です。
そんな選手がどうやってMLBで強打者となったのか?その答えは中南米諸国の若年層の野球環境にあります。
日本と大違い!中南米の野球教育
日本を代表する強打者、筒香嘉智選手(レイズ)は2015年に、ドミニカ共和国で毎冬行われているウィンターリーグに参加したことがレベルアップにつながりました。
このとき、筒香選手はドミニカの子供たちとの野球を通した交流も経験しました。
それ以来、日本のアマチュア野球に疑問を抱くようになったそうです。
2019年、日本外国特派員協会での記者会見で語られたその疑問というのが、中南米に比べて日本のアマチュア指導者は
- 勝利至上主義に偏り過ぎてないか?
- 子供たちに答えを与えすぎているのでは?
- 子供たちの将来を考えていないのではないか?
という痛烈な指摘でした。
中南米の子供たちの野球指導
日本に比べて中南米の子供たちの野球は、打撃の場合、強振し過ぎてたくさん空振りするなど決してレベルが高いとは言えません。
しかし、現地の指導者がそんな子供たちに対してにかける言葉は「次はきっとうまくいくさ」「なぜ○○なのか考えてみよう」といった前向きな内容です。
このような環境で打撃練習に打ち込むので
- ひたすら強く振る
- 失敗を成功に変えるべく自分で考る
- 貪欲にアドバイスを求める
これらが習慣となり、年齢と共に急成長していくのです。
そして16~18歳頃には、多くの選手が恐ろしいスイングスピードと打撃スキルを身に付けてMLBへと挑戦し、競争に勝つことでアルトゥーベ選手のようにMLBの主力へと駈け上がっていきます。
以上の理由から、今後も中南米から好選手が輩出されることが予想されますし、日本野球が参考にできる要素も多分に含まれています。