「戦国リーグ」と称される東都大学野球の昇格・降格劇!

3月29日、神宮球場にて東都大学野球の春季リーグ戦が開幕しました。
東都大学野球はプロ野球選手を毎年多数輩出する一方、「戦国東都」と呼ばれるほど過酷なリーグです。
その理由は、高い次元での戦力の均衡と、昇格・降格争いにあります。
4部リーグまである東都の1~2部は特にハイレベルで、2部リーグの下位から翌シーズンに1部昇格、さらに翌シーズンに1部で優勝ということがザラです。
反対に、1部リーグ優勝の翌シーズン、最下位に沈み2部に降格してしまうこともあります。
また、2部に停滞するチームは、戦力的に劣っているわけではなく、毎年のように2部リーグからドラフト会議で指名される選手が現れるのです。
今回はそんな「戦国東都」の歴史について紹介していきます。
過去にあった東都の下剋上
実際にあった1~2部リーグの優勝争いとその前後にあった昇格・降格による下剋上エピソードです。
2009年秋~10年春:立正大学
立正大学は、2009年秋のリーグ戦で創部61年目にして初の優勝を達成します。
勢いそのまま、秋の全国大会である明治神宮大会にも優勝するなど、記録的なシーズンとなりました。
しかし2010年春、まさかのリーグ戦最下位、直後の入れ替え戦でも青山学院大学に敗れ2部リーグ降格、その後、2017年春まで2部に停滞してしまうのです。
要因として、2009年に活躍した投手2枚看板が2010年春、
・小石博孝=卒業。社会人を経たのち、2011年ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから2位指名
・南昌輝=右肩を故障、本来の投球ができず。それでも2010年ドラフト会議で千葉ロッテから2位指名
このため、投手陣が機能せず敗れてしまいました。
その立正大学も、実は2009年春まで2部リーグにおり、2009年秋の優勝は1部に昇格したばかりのシーズンだったのです。
1989年春~今:中央大学
1931年の東都大学野球連盟=当時は「新五大学野球連盟」の設立時から名を連ねる中央大学は、1部リーグ優勝25回を誇る名門です。
また、2020年のドラフト会議で横浜DeNAから2位指名され、2021年シーズン開幕から1軍で大活躍している牧秀悟選手、読売巨人の阿部慎之助2軍監督など多数のプロ野球選手を輩出しています。
そんな中央大学も、1989年春に1部最下位、2部降格して以降は長く2部リーグに停滞していたのです。
その後2部優勝し、入れ替え戦に勝利、1部復帰したのが1999年秋。
10年ぶりのことでした。
しかし、それ以降も戦国東都での熾烈な争いに苦しみます。
2004年秋に1部優勝を果たすものの、翌年の2005年秋に2部降格。
再昇格までに3年を要し、それ以降も幾度となく1部の最下位争いや2部との入れ替え戦を繰り広げました。
2018年の春と秋にいたってはいずれも1部最下位。
それでも入れ替え戦で勝利し、1部の座を死守したのです。
2019年以降は一転して上位争いに加わり、現在行われている2021年春も開幕から立正大学・亜細亜大学に連勝するなど優勝争いの本命となっています。
レベル差ナシ!東都の順位争い
戦国東都のリーグ戦では、過去の順位がそれほどあてになりません。
上位争いと下位争いは紙一重であり、優勝争いしていたチームが後半、ほんの少し調子を落とすとたちまち下位・残留争いに引きずり込まれてしまうのです。
各大学にとっては目の前の一戦一戦が文字通り「負けられない戦い」となります。
同じく明治神宮球場を開催地としている、
- 土日の東京六大学
- プロ野球ヤクルトスワローズのナイター
それらとは雰囲気が異なる、平日の静寂な神宮の杜で行われる白熱した戦い。
東都大学野球リーグに、ぜひご注目ください!