冨岡聖平選手とは?日本では無名の日本人マイナーリーガー

冨岡聖平(とみおか・しょうへい)という選手をご存知でしょうか?
現在、野球の最高峰:メジャーリーグ(MLB)の舞台を目指している25歳の投手です。
今回は、日本のプロ野球を経由せず、アマチュアから直接MLB球団とマイナー契約を結ぶというレアなルートを歩んでいる冨岡選手の、経歴と現在について紹介します。
高校・大学・社会人時代
冨岡選手は富山県出身、地元の県立桜井高校に入学、3年夏の富山県大会決勝戦にはNPBの8球団のスカウトが集結するなど、高校時代から注目を浴びる存在でした。
しかしこの時点でプロを志望せず、セレクションを受けて合格した東洋大学に進学するのですが、大学では思うような結果が残せず苦しむことになります。
肩の不調に加え、2学年上に原樹理(ヤクルト)、同期に飯田晴海(日本製鉄鹿島)といった逸材が揃う当時の東洋大学。
さらに後輩には、いずれもドラフト1~2位で指名された甲斐野央(ソフトバンク)、上茶谷大河(横浜DeNA)、梅津晃大(中日)といったハイレベルな投手陣の中で、登板機会を得られないまま4年間を終えたのでした。
それでも冨岡選手は、諦めることなく投球フォーム作りに励み、在学中に練習参加していた社会人野球のバイタルネットから入社内定を勝ち取り、大学卒業後も野球を続けます。
それから2年後の2019年、NPB球団からのドラフト指名が有力視されていたにもかかわらず、どこからも声がかかりませんでした。
「フォームに問題がある」という各球団スカウトの評価が、指名されなかった理由です。
野球を辞めるはずだった
この2019年で野球は辞めようと決意していた冨岡選手ですが、この年から始まった、MLBオークランド・アスレチックスの投手限定の日本でのトライアウトに記念受験のような気持ちで参加します。
結果は合格、翌2020年1月にマイナー契約を結んだのです。
合格の決め手が、NPB球団から「問題あり」といわれていた、アーム式のように腕を振るフォームにあります。
アスレチックスのスカウトは、そのフォームを「胸を大きく使って投げている」と好評価したのです。
日米の野球観の違いが、冨岡選手にとって思いがけない追い風となりました。
幼少期から日本のプロ野球よりも、シアトル・マリナーズで活躍するイチロー選手の影響を受けてMLBの舞台に憧れを抱いていた冨岡選手。
その憧れの舞台に挑戦するチャンスを、日本のプロを経由しないという珍しいパターンでつかんだのです。
SNSで情報発信
冨岡選手はTwitterを通して情報発信しています。
マイナーリーグの住環境や食事など、日本ではなかなかお目にかかれない光景がリアルタイムで見ることができる貴重なアカウントです。
また、自身が運営するブログでは、メジャーを目指す現役選手のトレーニング理論、投げ方や取り組み方について公開しています。
ブログの中で冨岡選手は過去と現在の自身の画像を比較して、何がどのように変化しているか、どう改善していくかなどの自己分析を分かりやすく説明しているんです。
こちらもNPBやMLBの世界を目指す人にとっては、プロが結果を出すためにどんなアプローチを試みているのかを参考にできる「お宝ブログ」と言っていいでしょう。
現在もアスレチックス傘下に所属
知る人ぞ知る存在ともいえる冨岡聖平選手。
現在もMLBアスレチックス傘下1Aに所属しており、5月5日の開幕戦に登板し、初勝利を挙たことが日本のスポーツ紙でも紹介されるなど、国内でも徐々に注目度が上がっています。
さらに実力を発揮することで、近い将来のメジャーデビューも夢ではありません。